上表からもお分かりのように、デパートやブティックのショー・ウィンドウを飾って いる今年の「春・夏」ファッションは、2004年の夏から作業が始まっていたわけです。2004年の夏から秋にかけて、今年の「春・夏」の流行色が絞り込まれ、2005年の2月から3月には素材やパターンの傾向もある程度、決定付けられました。そして、2005年9月から10月にかけて各地で開かれたデザイナー・コレクションでは、デザインの方向性が提示されました。昔と違い今は消費者の考え方も多様になっているので、デザイナーの作品で全てが決まるわけでは無いと思います。ただ、色の傾向と素材に関しては展示会に左右されるので、今年の「春・夏」の流行色が白だとしたら、それは既に2004年の夏から企画されていたのです。
では、今年2006年の「秋・冬」は、どんなファッションになるのでしょうか? 昨年秋のプルミエール・ヴィジョンに参加した方からお話を聞く機会があったので、紹介しましょう。
展示会期間中の人気カラーは、1位 エボナイト (黒檀)、2位 ルビー、3位 カーボン (黒)、4位 エルミン (クリーミーな白) で、昨年の「秋・冬」に比べるとややカラフルですが、全体には重めの色です。
素材面では、依然としてツィードの人気が高いようです。しかし、刺繍やレース、またビーズをあしらった素材も人気があり、可愛いらしさを好む日本人女性にはうれしい傾向でしょう。お出かけ用の服とカジュアルな普段着との境目が、ますますなくなっていくようです。また、自然な感触の素材も注目を浴びているようです。
秋・冬の五大コレクションも終了し、アパレル業界では、今年の「秋・冬」のデザインにどの傾向を取り入れるかの企画も終わった頃だと思います。今ごろは、秋冬物の展示会でデパートやセレクトショップの注文を受けている頃でしょう。昔は展示会での注文がシーズンの70〜80%を占めていたのですが、最近ではお客様の好みを把握するのが難しく、シーズン中の注文が増えているということです。昔ほど人々が流行に左右されず、自分の好きなものを着るという時代になってきたということでしょう。
私の知り合いには、「去年のシャネルは着られない」とか、「このパターンは今年のマックス・マーラーでしょ。」などとこだわる人もいますが、私は流行り廃りのない定番のデザインを選び、ブランドにもさほどこだわりません。会社を辞めたらファッションに気を使わなくても良いと思っていましたが、人前に出る機会が多くなった今では、さすがに5年前のスーツを着ていくわけにもいかず、この考え方は甘かったと反省しています。特にファッション産業の仕事で、業界の方にお目にかかるときは、恥ずかしくないようにそのシーズンのものを取り入れるよう心がけています。
皆様も流行に左右されず、ご自分のファッションをお楽しみください。